■プロペラがよく廻らないときの解決策■

  やっと完成して、電源のスイッチをON。 --- プロペラはぴくりともしない、スムーズに廻ってくれない……そんなときの解決策です。電池はかなり使い古したものでも廻りますが、一応新しいものに替えてから行ってください。


■プロペラが少しでも回ろうとするとき■
   正常ならば、プロペラはスイッチを入れれば自力で回転し始めます。プロペラを指ではじかないと廻らない、かすかに廻る気配はみせるが結局廻らない、とか、回転速度が遅い、多発機で回転速度が不揃い、というときがあります。この原因のほとんどは、プロペラやジョイント部の接触の抵抗(モーターのトルクが弱いため、プロペラやプロペラ軸などへちょっと抵抗が加わってもスムーズに回らなくなる)によるものです。
  『原因』1〜4を、順に、ていねいに当ってみて下さい。調整は、電源OFFのままプロペラに息を吹きかけて、回転の具合を確認しながら少しずつ行います。また、各『原因』が複合している場合もあるので、「これと」確信できないときは、接触部分の調整で、不必要な部分まで削りすぎたりしないよう、いったん全ての項目に当ってみたほうがよいでしょう。

●原因1: プロペラが機体の一部に触れてる
モーターの取付け位置が後ろ加減のときは、プロペラが部分的に機体の一部に触れてしまうことがあります。また、雷電やFw190など、プロペラと一緒に冷却ファンを廻すようにしたときは、この冷却ファンやそのかすかなバリがカウリングの内側に接触していることがあります。
解決……プロペラを少し引き出してスムーズに回転するならそれでよしとします。極端に引き出さなければならないときは、プロペラなどの接触する部分を削って調節します。また、冷却ファンがある場合は、冷却ファンとカウリングの状態を確認し、同様に接触がなくなるよう削って調調節します。

●原因2: ジョイントが軸穴と接触してる
プロペラを外して、ジョイントが軸穴と接触していないかを確認します。
解決……少しでも接触しているようなら、先の鋭く直線状に尖った切り出しナイフ状のもので、ジョイントを傷つけないよう注意深くその部分を削ります。
(この障害は、製作時に軸穴を少し大きめにすることで防げます。)

●原因3: ジョイントがモーターに接触している
『原因』1、2と異なり、状態を目視できないので、手さぐりの作業となります。プロペラを外して、ジョイントを少し(1/4ミリぐらい)ずつ手前に引き出しながらプロペラの回転状態を確認します。1ミリ未満の引き出しで正常な回転が得られたら「解決」へ。1ミリ引き出しても変化がない場合は、これが原因でない可能性が大です。
解決……ジョイントがモーター軸を強く銜(くわ)えているようなら、モーターがスムーズに回転する位置で放っておいてもOKですが、少しゆるいと感じる時は、いったんジョイントを引き抜いて、(モーター側の長さが不適切なときはカッターで長さを調節して)プロペラ側にジョイントを取り付けて、再度モーター軸に装着し直します。
  プロペラ・ジョイントの内径は、プロペラ側とモーター側の2段になっています。正常な状態では、ジョイントのモーター側の長さを、モーターの回転軸長より1ミリ弱短くして、モーター軸の先端がプロペラ側との境目まできっちり挿入することで、モーター本体とジョイントの間に隙間ができます。しかし、ジョイントのプロペラ軸側との境目の判断の誤りなどで、モーター側を長めに切断してしまうと、モーター軸への装着時にモーター本体との間に隙間を設けても、モーター軸の先端がプロペラ側との境目に達しないため、プロペラを取り付ける時の力の入れ加減で、ジョイントが押され、モーター本体に接触してしまうことがあります。また、ジョイントのモーター側の銜えが弱いときは、モーター側の長さが適切であっても、プロペラを装着するときに押されてモーター本体に接触することがあります。このときは、先にプロペラ側にジョイントを取り付けてから、モーターに装着して下さい。

●原因4: モーター軸へ異物が付着している
『原因』1〜3を入念にチェックしてももスムーズに廻らないときは、モーター軸やモーター軸受部分に接着剤などの異物が付着して、抵抗になっている可能性があります。この場合、見てもわからないので、すぐ「解決」のステップを実行します。
  
モーターをマウントに固定する際に、接着剤がモーター軸に付着することがあります。とくに合成ゴム系接着剤を使用したときに起きやすい事故です。
解決……電源のスイッチを入れて、エンジンのブレークインのように、スムーズに廻るようになるまで廻し続けます。数分で済む場合もあるし、30分〜1時間以上かかることもあります。時折スイッチをON−OFFさせて、ショックをあたえると良いようです。


■プロペラが全く回らないとき■
  プロペラが全く廻らないときは、コードやハンダ付け箇所の断線など電気系統の故障が第一に考えられます。とくに最後の『原因7』だった場合は、モデルの当該部分をエッチングソーで切り開くなどの大改修が必要です。この症状のときは、『汝の性の拙きを泣け』ではありませんが、運が悪かったとあきらめ、腹をくくりましょう。
  電気系統のチェック(導通試験)の場合、テスターがあるとベストですが、模型店などで売っている1.5Vの豆電球も利用できますから、小学校の理科の授業を思い出して応用してみて下さい。

●原因5: モーター軸へ異物が強固に付着している
  事前のテストとして、電源スイッチをOFFのまま、プロペラに息を吹きかけてみます。これで空転しないとき、指でプロペラを廻せば廻るのですがそうとうの抵抗感があるとき、はこれが原因で、『原因4』の重篤なものです。
解決……基本的にモーター取付け部を切開しての修復となります。【参考: 自分が経験した、すこし根気が必要ですが、場合によっては解決できる方法】

●原因6: 電源部に不都合がある
  スイッチ、電池接点部、ハンダ付け箇所、などの故障や不良があります。機体へのプラスとマイナスのコードとの結線部に豆電球をつないでみるか、同部分の電圧測定を行います。
解決……当然、当該部分を修理します。

●原因7: 機体内の配線の不都合
  単発機では、電源部の機体へのプラスかマイナスのコードのどちらかを外して、間に豆電球を挿入するか、機体側の導通試験を行います。豆電球が点灯しないとき、導通試験で針が振れないとき、は機体内部の故障です。
  多発機では、どれか一つでもモーターが廻れば、廻らないモーター側の電気系統の故障です。全てのモーターが廻らない場合は、単発機同様のテストをして、豆電球の点灯なし、導通なしのときは、スタンド・アームからのコードの分岐箇所の故障と断定できます。
解決……いずれも、当該部分をエッチングソーで切り開いて修理してください。こうならないための予防策は
「製作過程で、各ステップごとにモーターの回転を確認しておく」に尽きます。……モデル製作の楽しさを満喫されんことを。