■工作室(製作47)■   アクシデント(1)修復作業

アクシデントは、撮影用のフラッドランプのそばに置いていたのを忘れて点灯してしまい、熱で変形してしまったというものです。左右の胴体を組み合わせた状態だったことと、部分的な変形に止(とど)まっているので、なんとか修復することが出来そうなのが不幸中の幸いで、取り敢えず左右の胴体を結合してから整形修復することにしました。
■修復の計画
後部の大きな穴は、周囲の形状が単純なので、思い切って穴の周りを切除してプラ板で再生することにします。前方は、波状に変形していますが、穴も小さく、また、フィレットなどがあり複雑なので、もとの形状をなぞるようにパテ盛りで整形することにしました。

■後部の大きな穴部分の修復
  
●穴周囲の切除
穴とそれに付随する変形部分が、パネルラインの筋彫りに囲まれた内側にほぼ納まっていたので、この溝に沿って切除しました。道具はエッチングソーを用います。胴体に直角のラインは直線の幅広のノコを使い輪切りにするように、平行のラインは、最初に楕円のノコで中央部に切れ目を入れて、そこに細いノコを挿入して切断していきます。
【参考:エッチングソーについて】
  

●修復作業
切り抜いた穴の周囲に、1. 2ミリ厚のプラ板を積み重ねて、接着剤が完全に硬化してから、胴体のカーブに合わせて整形しました。切断ライン外の若干の変形は、ごく薄いプラ板を、パッチを当てるようにその箇所に貼り付けて整形しています。
  
円筒形の胴体なので、平行のラインは、正確に切るためにはノコを円の中心に向けざるを得ず、切断面は接線に直角にちかいものになってしまいます。従って、積層は右図のように、ある部分で三角材を使うか、胴体の切断面を水平にする必要があります。

■前方の変形部分の修復
 
左右胴体の接合面、右主翼取付け部、フィレット後縁部など、隙間や凹みが大きい部分は、プラ板を埋めて土台とし、全体をパテ盛りで修正しました。パテは、硬度の高い「光硬化パテ」である程度地ならしをして、表面仕上げにソフトで作業性の良い「アルテコ」を使っています。

 
大雑把にパテを盛り、余分なところをナイフで機体のラインに沿うように切除してから、サンディングで調節します。
立体の表面仕上げはなかなか難しいもので、一回の「パテ盛り−整形」でOKとはまずなりません。大概のところまでいったら、不自然なラインの箇所をピンポイントでじっくり潰していくのが、まどろっこしいですが、早道のようでした。

修復が終わって、最後のホワイトベースを塗布ところ
丹念に作業したはずなのに、修正しきれないいびつな箇所が散見されます。このあとももっと手を加えればならないところですが、ここいらが我慢の限界でした。

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