■工作室(製作45)■  (1)キットの概要

手軽に「フライト・ポジション」モデルを楽しめるキットとしての紹介です。

童友社の「翼コレクション」シリーズ
スピットファイヤー・ムスタング・メッサーシュミットBf109F・(飛燕)

1/100
今秋(2005年9月)の「ラジコン・プラモデルショー」の童友社のブースで購入した、食玩様(よう)のパッケージに入っている、塗装済の1/100キットです。 当たりクジ方式で、機種を選べるけで、塗装のバラエティーは「開封後のお楽しみ」というものですが、組み立てることが目的であるはずの「キット」とはなじまない販売形態ではないかと思います。低価格で、良い出来のキットなのに「モデラー」としては残念。 (なお、上写真左端の日本機パッケージは古いタイプで、こちらは機種も開封後でないとわからないもの。

この「翼」は大分前から発売されているシリーズですが、今回入手のものは、塗装済キットとしての従来の欠点が改善されていて、プラスチック・モデルをイージーに楽しむにはなかなか良さそうなものになっています。
パイロット人形も付いており、また、1/00というサイズはモーターの搭載スペースも充分なので、付属の展示台をも利用してフライト・ポジションモデルとしてみました。
左端の日本機シリーズの飛燕は大分前に入手したもの。同社の同じモデルの通常版キットと比べてみると、それに塗装しただけのものでした。組立キットなので、合わせ目の処理が問題で、塗装のレタッチのことやキットそのものの出来、パイロット人形が付いていないことなどから、今回は製作せず、参考として紹介するに留めます。

このような塗装済のキットでは、折角の塗装面にはたしてダメージを与えないようにして組み立てることが出来るか、がちょっと心配になりますが、新しい改良モデルでは、その辺がよく工夫してありました。
●モデル本体へのランナーの付き具合
 上写真左2枚は新タイプ。湯口が塗装面にかからない位置(のり代の面)から立ち上がっているため、ランナーから切り離しても塗装面には傷がつきません。ただ、湯口のあとの整形時に、削りすぎて隙間ができたりする恐れがあるので慎重な作業が必要です。【ランナーからの切り離しは、ニッパーで、モデルのアウトラインに平行に、ぎりぎりの位置でカットし、良く切れるナイフで、接着面と同一平面になるように湯口を削り取ります。】
 上写真右2枚は旧タイプで、通常のキットの湯口の付け方となっているため、切断箇所が塗装部にかかってしまいます。塗装の「はげ」はレタッチでごまかせますが、塗装の調子を合わせるのはけっこう難しそうです。

●組立作業への配慮
組み立てには、流し込みタイプの接着剤の使用を推奨していますが、それに対応する工夫は、胴体左右、主翼上下部品にある「ダボとダボ受け穴」にありました。通常のキットでは位置合わせにすぎないダボを、キットの素材に比較的柔軟性の高いプラスチック材を使って、ダボとダボ受穴を適度な圧力で嵌合させ、このダボ部の結合だけで仮止めの効果を得るというものです。ピンチなどを使わなくても、結合対象の部品が正しい位置で保持され、接着剤の流し込みが容易になります。
ダボとダボ受穴は「銜(くわ)え」を重視してるためかなりごついもので、主翼は左右各2箇所、胴体は8箇所(ムスタング)ありました。また、肉厚の胴体も、流し込み接着剤の糊代として効果的です。
流し込み用接着剤の使用は、付属のハケか面相筆を使い、一度「液」にどっぷりと漬け、瓶の口で量を加減(最初は少なめに、様子をみて徐々に適量まで増やす)してから、筆の先端を接合面に「軽く沿わせるように」「筆先の塗装面へのタッチは1回だけ」を念頭に、吸い込ませていきます。接着剤の流し込みは、部分部分に小分けして行い、接着箇所は指でしばらく圧力をかけて密着させます(このとき、接着ラインに触れないように、また接着剤が逆流しないように力の入れ具合に注意)。