■工作室(基本工作)■  (2)パーツの接着

■接着剤の種類と性質■
通常使われるプラスチックモデル用の接着剤としては次の2種類があります。
(1)有機溶剤型、(2)合成樹脂+有機溶剤型です。
基本的にどちらも有機溶剤でプラスチックを溶かし、
溶け合ったプラスチックが硬化することによって接着するものです。
接着に際しては、対象物の両方に塗布すると強固に接着することができます。
二つは使い勝手が大分違いますから、接着箇所に応じて使いわけると効果的です。

■有機溶剤型
主成分が有機溶剤だけの接着剤で、低粘度であるため、「さらさらタイプ」とか「流し込みタイプ」といわれ、おもに、筆などにしみこませて、接着対象に毛細管現象で流し込んで使用します。揮発性が高いので、塗ったさきから蒸発してしまい、対象を深く溶かすことができませんから、特に広い面積に対しての、塗ってから貼り付けるという方法には向きません。

左:タミヤセメント 「流し込みタイプ」
右:モデラーズ接着剤 「さらさらタイプ」
■合成樹脂+有機溶剤型(通常タイプ)
これは有機溶剤に合成樹脂を10%程度溶解したもので、ふつう、プラスチックモデル用の接着剤というとこのタイプをさします。
適度な乾燥時間で、広い面積の接着にも対応できます。


左:Mr.セメントデラックス
右:タミヤセメント

   ■その他■
左:dufix 「プラスチック模型用」 (ヘンケル白水(株))
アクリル樹脂を含む合成樹脂の量を、「通常タイプ」の倍ちかくに増やしたもので接着力も強く、金属との接着や、小さい面積なら充填効果も得られます。また、容器の口が、細長い金属パイプのノズルになっているので、奥まった個所の接着にも便利です。
右:プロユース「クリア」
特にクリア部品用とうたったものです。プラスチックを溶かして接着するすタイプではないため、接着面の脱脂など、くいつきをよくするためのある程度の下処理が必要です

★ヒント★「プラモデル用の初期接着力の強い接着剤を作る」
ピンチなどで保持することが困難な部分の接着に便利なものです。……といっても、特別なものを使用するのではなく、通常のプラモデル用の接着剤が、使っているうちに少なくなり、溶剤分が蒸発してどろっと瓶の底に残ったものを使います。付属のハケで塗れないぐらいにどろっとなったものは、同じ接着剤で新しいものを少しずつ加えて、ハケで塗れるぎりぎりの濃さにして出来上がり。……これを接着箇所の両面に塗って、すぐ押しつけるように合わせ、接着箇所を調節しそのまま硬化を待ちます。接着面積と対象物の大きさにもよりますが、ピンチなどでおさえていなくてもだれることなく接着時の状態を保ってくれて便利です。


■「通常タイプ」接着剤の使い方
胴体や主翼のような大きな部分の接着の場合、付属のハケで、接着面にペタペタと少しずつ置いていくような感じで接着剤を塗布するとやりやすいようです。
左写真のような順番で、最初に左胴体が機首〜胴体上部〜胴体下部と塗布したら、右胴体は、胴体下部〜胴体上部〜機首と、接着接着剤塗布後の時間がほぼ等しくなるようにします。
接着面がパッカリ型の部分(左写真でいうと胴体の機首部や後部胴体の上・下面)は、多少接着剤がはみ出しても、後の整形が楽ですが、嵌め込み型の部分(同、垂直尾翼の部分)は、極力はみ出さないように、少量をていねいに塗布します。
小さなパーツは、爪楊枝などの先に接着剤を付けて塗ると、はみ出しが少なくてすみます。
接着剤の硬化後、接着もれが見つかった場合、指先でその部分を強く押し付け、「有機溶剤型」の接着剤を細い筆で流し込みます。
プラスチックモデルの接着剤は、プラスチックを溶かして接着するため、はみ出した接着接着剤は、拭い取ったり、こすり取ったりしないで、硬化してからカッターで削り取るようにします。


■「有機溶剤型」接着剤の使い方
筆などに付けた接着剤を、接着する部品を接着個所に置いて、その二つの部品の間に、毛細管現象を利用して吸い込ませます。
胴体や主翼の貼り合わせで、よく接着できなかった箇所に利用したり、はみ出しを恐れて接着剤を控えめにしたときなど、ちょっと接着強度に不安があるときに、合わせ目に流し込んでしっかり接着することができます。
なお、タミヤの製品には、先の細い筆がセットされています。

キャノピーなどの透明部品は、接着剤が透明部品側にはみ出したらアウトなので、特に接着剤の塗布に慎重さが求められます。こんなとき、一番簡単だと思うのは、この「有機溶剤型」の接着剤を使い、毛細管現象で塗布することです。これは、キャノピーを接着個所に押し付け、接着剤をしみ込ませた筆を、接着面の一個所にちょんとあてると、すっと接着剤が接着面に拡がってくので、接着剤がまだ廻っていない個所に、ちょんちょんと繰り返すというものです。ライトなどのレンズ類にも、これを応用すると、はみだしが少なく、きれいに接着することができます。接着力は高くありませんが、実用的な程度には着いてくれます


■奥まった個所の接着の仕方
奥まった個所は、たいていは爪楊枝や竹串の先に接着剤を付けて行いますが、dufix 「プラスチック模型用」は、細い金属パイプのノズルの先から滴下するようになっているので便利です。使わないときは、細いピアノ線をキャップとして差し込んでおくので、こういった細いパイプ状の口を持つものに多い詰まりがほとんどありません。