■ 工 具 箱 ■  (1) 切る・削る−2−2

●ニッパー類●
ニッパーは一見、丈夫な刃で何でも切れそうですが、とくに模型用と銘打っているものはとても薄くデリケートな刃です。硬いものを切ると欠けたり、すぐ切れなくなってしまいます。ニッパーのパッケージなどに記してある、切断可能の範囲(プラスチック専用とか、軟鉄○ミリまでとか)をよく理解して、正しい使い方をすることが長持ちさせる秘訣です。
特に小型のニッパーは、カッターなどの「V」字様の刃ではなく、「レ」字様となっていて、切断方法も、ハサミのように剪断(切断箇所をずれさせるように切る)するのではなく、両側から圧断(圧迫して切る)するので、切断面は、直線側は比較的きれいですが、反対側はつぶれたようになります。従って、きれいな切り口が必要な側に刃の直線側を向けて切断する必要があります。

左:喰切(エンドニッパー)。 通常のニッパーははさみで切る要領で、切断対象を横からくわえて切断しますが、喰切は、きゅうりを前歯で噛み切るかっこうで、対象を直角にくわえて切断します。 中左:細い真鍮線や、配線用のリード線などを切断するための汎用ニッパーで、比較的頑丈な刃を持っています。 中右:タミヤ製のニッパー。刃が薄いので、よく切れますが、プラスチックでもランナーなどの太い部分の切断はやや不安です。 右:プ ラスチックモデルのランナーからの切り離し用に購入したものですが、ついつい真鍮線なども切ってしまい、刃が荒れて、現在は退役寸前。

■中型ニッパー
比較的頑丈な刃の付いたニッパーで、手の圧力が及ぶ範囲のものなら、大抵は切断可能です。ただ、刃が厚いぶん、切断面は粗で、ヤスリなどで整形する必要があります。(右側が、サイズ比較のためのプラスチックモデル用の小型ニッパー

■ワイヤーストリッパー
ワイヤーストリッパーは、ビニール被覆線などの皮むきを楽にしてくれる、コードの皮むき専用の道具です。芯線の太さに応じた刃が段階的に付いていて、合った箇所にコードを挟んでグリップを握ると、被覆だけが切れます。いろいろ種類があるので、自分の多用するコードの太さに対応しているものを選ぶ必要があります。刃部の先端はペンチ状でカシメに、根元は通常の刃で切断に使えます。
芯線の太さ約0.3ミリのコードの皮むきをしているところ。芯線の太さの位置に挟み、グリップを握って、コードを引くとOK。芯線の太さが判らないときは、見当をつけた一つ二つ上の大きい径かいら、徐々にフィットする位置を探し当てるようにします。
ビニール被覆線(とくに模型などで使うことの多い多芯コードの場合)の皮むきは結構面倒なものです。カッターなどでは、ちょっとした力の入れ加減で中の芯線までも切断してしまうことがあります。また、弱電用のニッパーなかには、刃の中央附近に一つだけ、ワイヤーストリッパーの働きをする小さな穴が開いているものもありますが、汎用するにはコツが必要で万人向きとはいえません。

■パイプカッター
あまり細いパイプには使えませんが、4ミリΦぐらいからの真鍮パイプ(鉄パイプは切れるかわかりません)の切断に威力を発揮します。パイプを回転刃にローラーで押しつけるように挟んで、何回かパイプの周囲を回転させるようにして使います。真円のパイプなら、ピラニアンソーなどの金工ノコギリを使うより効率的です。